戦乱と政略の陰を縫う一人の男の運命を、坂口安吾が鋭く浮かび上がらせる
日本史の夜を照らす新たな視座がここにある
戦国の荒野を支配した男の孤独と野望を坂口安吾が鋭く裂く。家康の実像と伝説の狭間を浮かび上がらせる長編歴史小説、読者を歴史の裏側へ誘う。血肉と栄光の重さを問う筆致で、読者は歴史を超えた現代の問いに直面する。
レビュー
戦国の風景がページの隙間から吹き抜けるように頭の中に立ち、登場人物の息づかいまで感じられる。安吾は家康の静かな野心と孤独を、史料の重さと筆致の軽さで同時に描く。政略と人間性の重ね合わせが権力の虚実を照らし、過去がいまを生む感触が強い。読み進めるほど視点が冴え、歴史小説の新境地に心を揺さぶられた。歴史の謎がさらに深まる余韻。 (28歳 みら)
安吾が描く家康は静かな野心の中にユーモラスな人間味も隠れており、読むほど笑いと皮肉がじわりと効く。戦の賭けと忍びの影を日常のリズムに包み込み、難解さの中にも歴史の重さが崩れず伝わる。読後には徳川の謎が少しだけ解け、心地よい余韻が残る。苦味のある表現もあるが、それが歴史の現実味を引き立て、軽妙さとのバランスを保つ。 (35歳 さぶ)
初めての歴史小説としても手に取りやすい一冊だと感じた。章の切り替えは明快で、専門用語の説明も自然に流れ、読み進める手が止まらない。家康の動機や時代背景が丁寧に描かれ、難解さを感じつつも興味が次々と湧く。坂口安吾の筆致に触れる入り口として最適で、歴史に対する見方が少しだけ広がった。章ごとに人間関係の機微が描かれ、歴史の教訓以上の共感が生まれる。 (22歳 こはる)