講談の熱と陰影が街角で交差する
耳を澄ませば時代を駆け抜ける語りの風
戦後の倫理と情を鋭く照らす坂口安吾の新刊講談先生。講談師と弟子の対話を通じ、時代の闇と人の心を浮き彫りにする短篇集。講談という語りの技法を駆使し、庶民の声と権力の影を縦横に描く。読む者の心に問いを残す覚悟の書。
レビュー
戦後の風景と講談の技を同時に味わえる稀有な一冊。作者の鋭い観察眼は、舞台の上だけでなく心の奥にも光を当てる。講談師の孤独と矜持が、静かな筆致でじわりと胸を打つ。安吾の筆は現実と伝統の継ぎ目を滑らかに跨ぎ、読み進めるほどに講談の語り口の魅力と人間の弱さが浮かび上がる。時代の影と落語の気品が混ざり合い、読後に静かな余韻が残る。 (34歳 つばさ)
安吾が描く講談界は、真面目さと皮肉が同居するおかしな空間。語りのリズムに乗るたび、私のツッコミがボタボタ湧く。なんとか意味を追いながら、笑いが机の上のコーヒーをこぼす場面も待っている。講談の技法より先に、笑いの呼吸を覚える本だ。読み進むうちに、現代の会議室でも使える“間”の妙を発見してしまう。ただし真剣さは演者の風味で、退屈を寄せ付けず、私の本棚の変な面白さを開花させた。 (27歳 ぽんた)
読書初心者にも優しい入口の一冊。難解な用語は少なく、安吾の筆は登場人物の気持ちをわかりやすく伝えてくれる。講談のリズムが心地よく進行を誘導し、挫折せずに読み終えられた。終盤の余韻が静かに残る一冊です。読むときは登場人物の名前をノートに書くと混乱しにくい。短い段落ごとに区切って、講談の節回しを意識すると理解が進む。 (22歳 みこと)