闇と欲望の境界を滑る筆致、夜の静寂へ読者を誘う
谷崎潤一郎の感性が編む極致の美と螺旋
盲目の語り部が描く夜の情念と孤独。視線を失う世界で揺らぐ欲望と真実が短編ごとに静かに浮かぶ。耽美と哀惜の筆致が紡ぐ物語集、谷崎潤一郎の美と闇を堪能させる。謎めく心の深部を静かに照らす長編連作。
レビュー
夜の闇と欲望が絡む短編群。盲目という視覚の不自由さを通じて、人の偏執と美意識が妖しく浮かび上がる。言葉は艶やかで読者を誘うように頁をめくる。登場人物の心の影が日常の出来事を拡大し、時に冷徹な視点で現実を切り取る。終盤の意外性と余韻が長く残り、再読すると新たなニュアンスが見つかる。谷崎の筆致は鋭く、感覚と情緒の交差点を鮮やかに照らす。 (28歳 影絵師)
盲目の視点で暴れる欲望の迷路を、軽妙な筆致がユーモラスに舵取りする一冊。嫉妬や性の描写が過剰なく、香り高い比喩が鼻をくすぐる。読書中、視界は閉ざされても心の風景はくるくると動き、結末は意外にほっこり笑える瞬間も。谷崎節は変わらず鋭く、でも伝統的な耽美の妙味を愛でられる一冊。 (34歳 ツッコミ侍)
初めて谷崎を読む人にもおすすめできる、手に取りやすい耽美の入口。盲目を軸に、人間関係の微妙さを静かな筆致で丁寧に映し出す。難解さを感じさせず、情景と感覚が染み込むように進むので読後の満足感が大きい。短編の連なる美の迷路を、ゆっくり味わいたい人にぴったり。読み始めると美と暗さの狭間を体感し、語彙の美しさにも気付くはず。 (22歳 初心者くん)